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民衆の中に根付いた竜

前回はことわざをもとに虎と蟻について紹介しましたが、今回は自然に関することわざ〈動物編〉として竜について詳しく紹介します!

범 가는데 바람 간다(虎のゆくところ風がゆく)
意味:虎がほえると風が起こる。英雄豪傑が行動し始めると、周囲に風雲が巻き起こるように多くの同志が相応じ従うことをいう。

これと同じ意味として「竜のゆくところ雲がゆく」ということわざがあります。日本のことわざでは「竜吟ずれば雲起こる」「雲は竜に従い風は虎に従う」が対応します。
前回紹介したように、虎は「山神」として崇められています。一方で竜は「水神」として崇められ、ひとたび飛びあがれば風雲を呼び、雨を集めると言われています。また、竜は強く立派で、最高であることの象徴でもあります。そのため、「용가(ヨンガ・龍駕)」= 王の乗り物、「용루(ヨンル・龍涙)」=王の涙、「용안(ヨンアン・龍顔)」=王の顔など、最高位である王を象徴するものとして竜が使用されています。縁起がいいとされる竜は民衆の中にしっかりと根付いており、池中の竜が通ると思われる“竜の脈”は風水学では「명당(ミョンダン・明堂)」と呼ばれます。명당は最も墓地を作るのに適したところであると言われています。朝鮮の人は先祖の墓の位置によって生きている者の幸・不幸が決まるという観念を持っているため、地相学、宅相学などある風水学の中でも墓相学が最も盛んになりました。

☆今日のポイント☆
日本語では「虎」の呼び方は一つしかありませんが、韓国語で「虎」は「호랑이(ホランイ)」と「범(ポム)」の二通りあり、「호랑이」は「범」より恐ろしい語感があるようです。

参考
金容権『韓国朝鮮ことわざ辞典』徳間文庫.1999年
孔泰瑢『韓国の故事ことわざ辞典』角川書店.1987年
by imuzemi | 2010-05-25 22:08 | 2010年度 軌跡